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ESSAY - 経験のコラージュ -


以前書いたの、つづきます。飼っていた黒猫の話。
(タイトルだけ、いま、付けた。)


クロッチ

 去年の夏の終わりに、同居していた黒猫が死んだ。
 彼と私は、私が今の家に住みだしたのとほぼ同時期からのつきあいだから、かれこれ12年一緒にいたことになる。
 黒猫は、わが家で生まれたわけではないし、知り合いからゆずってもらったわけでもないので、正確にいつ生まれたのかはわからなかった。そのことを獣医さんに尋ねてみたら、春が来たらこの子は1才になるでしょう、と、言った。それは冬の終わりだった。
 そんな黒猫との生活を通して、さまざまなことを学んだけど、まず、何に驚いたかというと、黒猫って神秘的で謎めいていてとか思われがちだけど、わが家の彼にかぎっては、180度さかさまの、お調子ものだった。
 よく喋り、よく暴れ、誰とでもスリーカウントで仲良くなれる才能を持っていた。だから、謎めいてなどまったくいなかった。
 たまに黒猫のお墓に行くのだけど、それはペット用の共同墓地なのだが、ある日墓参りに向かい献花台に囲まれた観音様の立像のもとについた途端、にゃあ、と声がしたので驚いたことがある。
 まさか。でも、どこにも猫はいない。タイミングが良すぎる。え、センサーがついてるの。そのようなサービスができたの。とか、一瞬の間にさまざまな憶測が脳裏をかけめぐった。
 すると、ふたたび、にゃあ。こんどは、私の足もとから聞こえたのでかがんで献花の奥をのぞきこむと、そこには、まっしろい白猫がいた。
 こんなにも、白髪になってしまって、おまえ元気にしてるか、と、私は黒猫に話しかけた。
(2009.4.29)

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