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2月, 2017の投稿を表示しています

ESSAY - 経験のコラージュ -

7年くらい前に書いたもの。すこし修正しました。 ↓ 以前、JR新大阪駅の新幹線のホームにある売店で、お茶を買おうとしたときのこと。 おねえさんにお茶をくださいとつたえると、おねえさんはすこし奥のほうへ小走りで向かい、「どのお茶にしますか〜?」と質問をなげかけてきた。 僕は、その頃『お〜いお茶』をひいきにしていたので、迷うことなくその銘柄をつたえた。 しかし、おねえさんが奥へ行ったことにより、僕と彼女との距離が、まさに「お〜い」と、声をかけるのにぴったりの距離になっていた。 なので、僕は、初対面のおねえさんに向かって、まるで亭主のように「お〜いお茶」と要求したかたちになった。 「(お〜い、きみ)お〜いお茶」というふうに。 にもかかわらず、おねえさんは「は〜い!」って明るく対応してくれた。 東京に来て、常磐線にのっていたときのこと。 そのときは知り合いとふたりで乗車していた。 日暮里か上野でおりて山手線にのりかえようかと相談していた。そして、日暮里駅に着いた。 ふいに相手の姿が消えてなくなった。 どこへ行ったんだ? 電車をおりたのか? まだ、なかにいるのか? しかし、人が多すぎて、あたりを見まわしても、どこにも見当たらない。 僕は、いらいらしながら電車の扉から首だけを外に出して「どこやねん」とつぶやいた。 小声でつぶやいたはずだったけど、知らず知らず、そこそこ大きな声になっていたのだろう。 「どこやねん!」「ほんま、どこやねん!」とつぶやいていたけど、それらのつぶやきがぜんぶ、そこそこまわりに聞こえていたのだろう。 扉の近くにいた女性が、親切に小声で「にっぽり」と教えてくれた。 最初、その意味がよくわからなかったけど、駅の名前を教えてくれたのだとわかった。僕がつぶやいた「どこやねん」を「ここ、どこやねん」と、いまいる場所がわからずにぼやいているのだと彼女は受け取ったのだと思う。 僕は、その女性の親切な態度に感謝し、「あ、いえ、すみません」と笑顔でこたえた。 でも、問題はそうじゃなくて、さがしている相手がどこへ行ったかであった。 ふたたび、僕は「もう、どこやねん!」「ほんま、どこやねん!」と、今度はさきほどよりもせっぱ詰まった声を出して不満をあらわにした。 すると、またその女性が「にっぽり!」と教えてくれた。 「にっぽ...

ESSAY - 経験のコラージュ -

以前書いたの、つづきます。飼っていた黒猫の話。 (タイトルだけ、いま、付けた。) ↓ クロッチ  去年の夏の終わりに、同居していた黒猫が死んだ。  彼と私は、私が今の家に住みだしたのとほぼ同時期からのつきあいだから、かれこれ12年一緒にいたことになる。  黒猫は、わが家で生まれたわけではないし、知り合いからゆずってもらったわけでもないので、正確にいつ生まれたのかはわからなかった。そのことを獣医さんに尋ねてみたら、春が来たらこの子は1才になるでしょう、と、言った。それは冬の終わりだった。  そんな黒猫との生活を通して、さまざまなことを学んだけど、まず、何に驚いたかというと、黒猫って神秘的で謎めいていてとか思われがちだけど、わが家の彼にかぎっては、180度さかさまの、お調子ものだった。  よく喋り、よく暴れ、誰とでもスリーカウントで仲良くなれる才能を持っていた。だから、謎めいてなどまったくいなかった。  たまに黒猫のお墓に行くのだけど、それはペット用の共同墓地なのだが、ある日墓参りに向かい献花台に囲まれた観音様の立像のもとについた途端、にゃあ、と声がしたので驚いたことがある。  まさか。でも、どこにも猫はいない。タイミングが良すぎる。え、センサーがついてるの。そのようなサービスができたの。とか、一瞬の間にさまざまな憶測が脳裏をかけめぐった。  すると、ふたたび、にゃあ。こんどは、私の足もとから聞こえたのでかがんで献花の奥をのぞきこむと、そこには、まっしろい白猫がいた。  こんなにも、白髪になってしまって、おまえ元気にしてるか、と、私は黒猫に話しかけた。 (2009.4.29)

短編小説

『日溜まり』※東京(アズーマ・ケー)シリーズ3 こちら! 『HOTEL 42.195』※東京(アズーマ・ケー)シリーズ2 こちら! 『東京(アズーマ・ケー)』※東京(アズーマ・ケー)シリーズ1 こちら!

ESSAY - 経験のコラージュ -

2012年8月(つまり4年半前)に書いたもの。いまさら、、載せます! ↓ BBQ お盆休み、どこにも遊びに行っていないので、 バーベキューに行ったことを空想してみたら、 たぶん、こうなるんだろうなあ。 ということで、行かなくてよかったことにする。 素敵な女性となぜかふたりきりで河原でバーベキューをすることになった。 そこまでは、いい。 目的地まではスムーズだった。そこまでは、いい。 いざ、火をつけようという段になって チャッカマンを忘れてきたことに気づく。 予想以上に日射しがつよい、とにかく暑くてたまらん。 日陰を選べばよかった。直射日光が当たりに当たりまくる。 女性の顔をみると、ひどくつらそうだ。 女性はかろうじて頭にハンカチをのっけているが、 僕は散髪したての頭のまま。 ようやく火がつき、肉、野菜が焼けたのはいいが、タレがねえよ! 風がつよくて、紙皿が吹っ飛んだ。砂もこっちに飛んで来る。 缶ビールで乾杯したはいいが、ぬる〜い。 ふたりとも酒に弱く、半分くらい飲んでまっ赤になっている。 目がとろんとしてくる。眠くなってくる。 隣りにイキのいい男女のグループがやって来る。 とにかく、うるさい。 「ウェーイ!!」「はははははーッ!!」などと叫びまくっている。 うるさすぎる、うるさすぎる。 "ダンダンドンドン、ダンダンドンドン"って低音を響かせた音楽が鳴りだす。 うるせー。 ふたりの会話がまったく聞こえなくなる。 酔ってるし、目がとろんとしてるし、声も出ねえ。 だんだんトイレに行きたくなる。 汗で体が冷え、腹が痛くなる。 さっきから奥歯に肉の切れ端がひっかかっている。 口内炎が痛む。 女性の顔が今度は青ざめてみえる。 限界という二文字が脳裏をかすめる。 mu..................って姿なき蚊がまわりを飛んでいる。 ふくらはぎを噛まれたみたい。 ふたりしてポリポリしだした。 「もう帰ろうか」と言う。 「来たばかりなのに」と女性がつぶやく。 こんなもんさと神様の声が聞こえた気になってみる。 まあ、空想は現実を肯定するためにあるんだかないんだか。

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祝! とうとつ、ですけど、じぶんで祝う。